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気密測定の重要性(今川 祐二)

室内エネルギーの約15%は、換気から失われいます。

(自然換気、第三種換気の場合)

各部位の、隙間や窓・ドアなどの気密化の施工限界部の、隙間などから失われる量を考えると、熱損失エネルギーは更に増える事に成ります。

外の風の強さに余っては、更に奪われる熱エネルギー量は増えます。


(絵はスウェーデンの資料からの抜粋です。部位ごとの熱損失率を示しています。 煙突からの熱損失が、換気での熱損失率15%を示しています。)

現在、シックハウス対策として、24時間換気が義務化されています。

その換気方式は、第三種換気(自然給気の機械排気)方式が主流です。

しかし、第三種換気(自然給気の機械排気)方式では、冬に暖房として暖められた室内空気を、換気排気する事で、100%屋外に捨てる事に成ります。

現在、この不合理な換気無しで、呼吸や調理、洗面所やトイレで汚れた空気や、室内に拡散した化学物質に対して、住居内を良い状態して住む手段は有りません。

しかし、換気と気密不良によるエネルギー損失は、省エネ対策や経済上からも、無視出来ない事です。 また、防湿、気密不良は壁内結露などの大きな原因でも有ります。

その為に、断熱・防湿気密工事が熱損失や結露対策には一番効果が大きいのですが、一番曖昧で数値的に確認しずらい工事でも有ります。

例えば、防湿気密工事が完了した家の、気密性能を目視や計算では数値上正確に示せません。

そして、隙間相当面積何㎝2の気密を作ると目標を持っても、その目標通りの数値の気密化を現場では正確に作る事も出来ません。

つまり、防湿気密工事は程度加減の出来る工事では無いのです。

工事期間中に、気密測定を実施すると、防湿気密施工の重要性が良く分かります。

そして、現状普及しているPVCサッシ(樹脂サッシ)や、レンジフード換気扇など外部と内部を繋ぐ、住機器の気密性能の悪さも良く分かります。

気密測定を営業戦略として、お客様にアピールしているハウスメーカーや工務店は、測定の実施時期を防湿、気密層の見える状態で行っているでしょか。

気密測定を職業としている方に聞くと、半数は仕上げ完了時期での気密測定だと聞きます。

それでは、気密測定時に発見した、防湿気密不良の部分は、直せないのではないでしょうか。

また、仕上げ材が気密層の上に成るため、気密層だけの状態での測定よりも、数値上有利な状況が生まれてしまいます。

完成状態の気密性能を確認するのだから、仕上げ完了時に測定する事が良いと言う理屈が分かりません。

あるサイトでは、1年、2年経過での気密性能経年変化確認なる事を、実施している記載が有りましたが、これこそ防湿気密層の見える段階での実施であれば、経年変化での影響など無い事です。

また、気密層自体で、防湿気密性能を担保する事が本物だとも考えます。


(気密測定時の壁状況、この様な状態でないと気密不良ヶ所が分からない)

(スウェーデンのパッシブハウスでの気密測定風景。防湿、気密層が見えている状態で実施)

更に、気密測定値の目安は、次世代省エネ基準値Ⅰ地区では、2.0c㎡/㎡以下であれば良いとしていますが、この値では先程の気密部位からの熱損失量を考えると、明らかに性能不足です。

スウェーデンでは、日本の気密測定圧力9.8Paの、5倍である50Paでの測定を基準としています。

この5倍の差は、どの様な経緯で生まれたかは分かりませんが、世界基準に沿わない日本の測定基準値が、緩い基準である事は理解できると思います。

私は、気密測定の際、日本の基準値9.8Paの約5倍、50Pa圧を掛けて、窓やドア廻りや気密施工のしずらい箇所を重点に確認する様にしています。


(気密測定風景)

(気密測定機から出される測定値シート)

計測器での確認ではなく、単に各部位に手をかざすだけの確認です。

しかし、気密不良部分はその手をかざすだけで、風の動きを感じ取れます。

そうした部分をマーキングしたり、その場で気密処理を施していきます。

その時感じるのは、日本製の住器機の気密性能不足です。

窓材のPVCサッシは、業界基準の低さが諸に出て、50Paの圧力時には、開閉部や開閉用レバー廻りからの漏気がある事が確認出来ます。

また、ボイラー機器も外部との貫通部処理や機器内の気密処理不足が良く分かります。


(気密測定時の確認で不良箇所が即座に分かります)

(また、建具の建付けの悪い部分も直ぐに分かります。 スウェーデン製の断熱ドアも建付けが悪ければ漏気に繋がってしまいます)

各部を確認していくと、気密施工のしずらい部分は、やはり気密不良が起こり易い箇所だと分かります。

そうしたヶ所を、監理者自らが確認する事が重要です。

数値的には、先張りシートの実施と少し丁寧に気密工事を行うと、次世代省エネ基準の隙間相当面積2.0c㎡/㎡は簡単にクリアーできます。

私が設計・監理した物件で、気密試験を実施した実測値では、1物件が0.1c㎡/㎡、もう1つの物件が0.2c㎡/㎡でした。

つまり、次世代基準の20倍と10倍の性能値に成ります。

この様に、少し丁寧に気密施工を行うと、気密値が格段に上がる事が分かります。

実施した物件で、50PAでの建物全体からの漏気回数(ACH)値を測定すると、0.3回と0.5回/hの数値と成りました。

この測定の意味は、50PAでの測定が標準と成っている、海外のパッシブハウスや無暖房住宅などとの比較検討の為です。

また、50PAの状況は、屋外の風速が約25m/秒の強風時の状況と同じと聞きました。(これに付いては、確認が取れていません)

普段の室外環境では、無風状態は殆んど有りません。

屋外では常に風が吹いているのです。

そうした状況下で、建物に隙間が有ると、屋外から風が入ってくる事に成ります。

ですから、50PAでの漏気回数を知る事は、強風時の風対策にも成るのです。

余分な隙間からの漏気は、計画換気(換気方式はともかく)に対しても、予定以上の換気量を発生させる事にも成ります。

台風など強風の多い日本に措いては、計るべき計測値だと思います。

どの程度の施工をすれば、どの程度の数値に成るかも、試験の回数を重ねていくと、予測出来る様に成ります。(高性能を目指す場合)

この感覚を持って、防湿気密工事を監理する事は大変重要だと考えます。

今後の省エネ住宅を造るには、最後の難関である換気方式と防湿気密工事がポイントです。

しかし、どんな換気方式を行うかの前に、防湿気密工事の程度がその成否を決める事になる事を充分理解しておく事が大切です。

防湿気密施工の監理を行い、その結果を実測する事は、寒冷地住宅建設には不可欠な監理項目だと私は考えています。

無暖房住宅・パッシブハウス・RC外断熱工法の(株)今川 建築設計監理事務所サイトより転載

今川 祐二

投稿者 日本パッシブハウスセンター :2008年12月 5日

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